着物の着付けに必要なものリスト│揃えておきたい和装小物の種類

着物を着たいと思ったとき 、「着物のほかに何を揃えればいいの?」と迷う人は多いのではないでしょうか。
着物だけでは着付けは完成しないため、帯や肌着、小物など多くのアイテムが必要です。
基本の和装小物に加え、着姿をより美しく整える補正道具や、外出時に役立つアイテムまで、目的に応じた準備が欠かせません。
どのような小物が必要か、実際に着物を着る前に知っておくと用意しやすいでしょう。
この記事では、着付けに必要なものを種類別に紹介します。これから着物を着たいと考えている初心者の方にも分かりやすく解説しますので、ぜひ参考になさってください。
目次
着物を着るなら揃えたい基本の和装小物

着物を美しく着付けるためには、着物のほかにも多数の和装小物が必要です。肌に触れる肌着類から、着崩れを防ぐ補正アイテム、帯まわりを整える道具まで、それぞれに重要な役割があります。
ここでは、着物を着る際に最低限揃えておきたい基本の和装小物を紹介します。
着物
着物がきちんと整っていないと、どれだけ小物を揃えても着姿は完成しません。目的や季節、格に合った着物を1枚持っておくことが和装の第一歩です。
着物は和装の主役であり、色柄や素材によって印象が大きく異なります。フォーマル用からカジュアル向けまで種類も多いため、用途に応じて選びましょう。
初めて着物を用意する場合は、訪問着や小紋、色無地など、汎用性のあるものを選ぶと着用の機会が増えます。
長襦袢
長襦袢は、肌襦袢と着物の間に着用するものです。
きものと似た形状ですが、丈が裾まであるもののを指します。上半身だけのものを半襦袢と言います。
種類としては、主に対丈(ついたけ)の一部式と上下に分かれた二部式の2つとなります。
一部式の方が通常の形で、二部式の方が上下に分かれているので丈の調整がしやすいものとなります。
素材や色・柄などが様々ですが、袖の振りや袖口からチラリと見える襦袢の色・柄に個人のセンスが光ります。
着物ならではのチラリズムに上級者程こだわりをもって厳選しています。
また、長襦袢と一緒に使う半衿も着物に合わせて色々な色・柄を楽しめます。
肌襦袢、裾除け
肌襦袢と裾除けは、洋服でいうところの下着にあたります。和装の快適さと清潔感を保つためにも、必ず用意しておきたい基本の小物です。
肌襦袢は上半身に、裾除けは下半身に着用し、着物や長襦袢を汗や皮脂から守る役割があります。
直接肌に触れるため、吸湿性・通気性に優れた素材が適しているでしょう。
最近では上下一体型のワンピースタイプもあり、着付け初心者にも使いやすい設計です。
帯板
帯板は帯の前面に入れて使う芯のような役割のアイテムで、硬めの芯地が帯の形を整え、見た目の印象を引き締めます。帯のシワやたるみを防いでくれるため、美しい仕上がりを保てるでしょう。
一般的にはゴム付きとゴムなしのタイプがあり、着付けの仕方や帯の種類に合わせて考えると選びやすいです。
特に、柔らかい帯や初心者向けの帯結びには、しっかりとした帯板があると美しく整えやすくなるでしょう。
帯枕
帯枕は帯の後ろに立体感を持たせ、結び目を安定させるためのアイテムです。主にお太鼓結びや二重太鼓などで使用され、帯山の丸みをきれいに保つ役割を担います。
着物の後ろ姿を美しく整えるために欠かせないアイテムで、着付けの完成度を左右することも少なくありません。
帯枕にはタオルのような布で包まれた形状のものが多く、サイズや厚みによって仕上がりに違いが出ます。
衿芯
衿芯は長襦袢の衿に差し込んで使う芯状のアイテムで、衿元の形をきれいに整えるために使用されます。
衿元がよれたり、乱れたりしてしまうことを防ぎ、姿勢のよい印象を与える効果があります。
ナイロン製や不織布タイプが一般的で、差し込みやすさや硬さによって使い心地も異なります。特にフォーマルな場では、衿元の美しさが着姿全体の印象に影響するため、必須のアイテムといえるでしょう。
腰紐
腰紐は着物や長襦袢を身体に固定するために使う布製の紐で、体型に合わせて着物を固定し、ずれや着崩れを防ぎます。
素材はモスリンやポリエステルが主流で、摩擦力のあるものがずれにくくて便利です。
着付けの時には複数本必要になることが多いため、数本用意しておくと安心です。迷った時には着物を購入する際、販売スタッフに相談するとよいでしょう。
伊達締め
伊達締めは、着物や長襦袢の上から巻いて全体を安定させるために使う幅広の帯状のアイテムです。
腰紐で留めた上から巻くことで着崩れを防ぎ、着姿を長時間きれいに保つのに役立ちます。
素材には正絹やポリエステルが使われ、面ファスナータイプや伸縮性のあるゴムタイプなども人気です。
衿元や背中のラインを整えるためにも重要で、見えない部分ながら仕上がりに差が出やすいため、美しい着こなしを目指すなら欠かせないアイテムになるでしょう。
足袋
足袋は和装時の足元に欠かせないアイテムで、草履を履くためにも必須です。色は白が一般的で、フォーマルな場にもふさわしいとされています。
足袋はコハゼと呼ばれる金具で足首に留める仕組みが多く、サイズや素材もさまざまです。
滑り止め付きのものやストレッチ素材の足袋など、履き心地や用途に合わせて選べます。
足元が整っていないと全体の印象を損ねるため、見落とせない基本アイテムです。
着物をもっと楽しむための和装小物

基本の着付けアイテムに加えて、着物の着姿を華やかにしたり、快適に整えたりする和装小物も数多くあります。
このようなアイテムを取り入れることにより、自分らしい着物コーディネート が楽しめるでしょう。
ここでは、着姿の美しさと楽しさを高める和装小物を紹介します。
帯留め
帯留めは帯締めに通して使う装飾アイテムで、帯まわりにさりげない個性を加えたい時に活躍します。金属製や陶器、ガラス製など素材も多様で、選択幅の広い小物のひとつです。
小ぶりながら目を引く存在感があり、季節やシーンに合わせたモチーフを選ぶことで、着こなしのアクセントになります。
カジュアルな着物にも合わせやすく、気軽に和装のおしゃれを楽しみたい人におすすめです。
帯揚げ
帯揚げは帯枕を包み、帯の上部に見える布で、着姿に色味や奥行きを加える効果があります。
結び方や見せ方によって印象が変わるため、着付けの中でも一人ひとりのセンスを発揮しやすい部分です。
フォーマルでは白や淡い色が選ばれ、カジュアルでは鮮やかな柄物やグラデーションも人気です。
素材は主に絹で、シボのある縮緬(ちりめん)や透け感のある絽(ろ)など、季節に合わせた選び方も楽しめます。
伊達衿
伊達衿(伊達襟)は長襦袢の衿に重ねて使う装飾用の衿で、衿元に彩りを添えるためのアイテムです。
重ね衿とも呼ばれ、着物の色に対して差し色を加えることで華やかさや格調を引き出せます。
フォーマルな装いでは金銀入りのものが好まれ、セレモニーの場にふさわしい印象を演出したい時にもぴったりです。
きちんと整った衿元を作るためにも、全体のバランスを見ながら色や素材を選ぶとよいでしょう。
補正用タオル
補正用タオルは体型の凹凸を整えるために使用されるアイテムです。着崩れを防ぎながら自然なラインを保ちたい場合に役立ちます。
特に腰まわりや背中に当てて、直線的なシルエットを作る補正を施すことで、着姿が崩れにくくなります。フェイスタオルが一般的で、必要に応じて枚数を調整しながら使いましょう。
市販の補正パッドもありますが、タオルのほうが汎用性が高く、持ち運びにも便利という点がメリットです。
和装ブラジャー
和装ブラジャーは、着物専用に設計された下着で、バストのふくらみを抑えながら体型を整える効果があります。
洋装のブラジャーと異なり、着物に適したフラットな胸元を作ることで、衿元やシルエットを美しく保てる点がメリットです。
肩紐が太めで背中に段差ができにくい設計のものが多いため、長時間の着用でも快適性を保ちやすくなっており、肌着とあわせて使用することで、より快適な着用感が得られるでしょう。
外出でも着物を美しく見せる和装小物

着物姿で外出する際は、基本の装備に加えて、移動や気候、周囲との調和に配慮したアイテムも重要になります。
足元から手荷物、ヘアスタイルまで、細部の選び方が全体の印象に影響するでしょう。
ここでは、着物姿をより美しく快適に見せるための外出用和装小物を紹介します。
草履
草履は和装に欠かせない履き物で、着物の装いを完成させるために必要です。底が適度に高く設計されているため、裾を引きずりにくく、移動時の足元を美しく保てます。
鼻緒の色柄や素材によってフォーマルにもカジュアルにも対応可能で、着物の格に合わせて選ぶとよいでしょう。
クッション性のある草履は足の負担を軽減しやすいため、長時間の歩行にもおすすめです。着物の雰囲気を引き立てながら、機能性も実感できるでしょう。
バッグ
着物に合わせるバッグは、コンパクトで上品なデザインがおすすめです。
手提げタイプや巾着、がま口型などさまざまな形がありますが、装いの格に合わせて選びましょう。
例えば、フォーマルには金銀や絹素材のバッグ、カジュアルには布や籠を使ったものなどの違いがあります。好みだけではなく、TPOに合わせたタイプを選びましょう。
最近は現代的な機能性と和のデザインを兼ね備えたバッグも増えており、スマートフォンや小物類を収納しやすい仕様のものも便利です。
和装の雰囲気を楽しみつつ、実用性も意識しながら選んでみてください。
ヘアアクセサリー
ヘアスタイルも着物姿を美しく見せる重要なポイントであり、ヘアアクセサリーの選び方で印象が変わります。髪型や着物の色柄に合わせて選ぶことで、全体の統一感が高まるでしょう。
和装ではかんざしや髪飾り、玉かんざし、つまみ細工など、伝統的な意匠のものがよく用いられます。バリエーションが豊富なため、好みやTPOに応じて選びやすいでしょう。
フォーマルでは華やかさと品のあるもの、カジュアルでは遊び心のあるデザインが人気です。主張しすぎず、髪型やTPOに合う選び方が理想的です。
着物クリップ
着物クリップは、着付け中や外出先でのちょっとした調整に役立つ実用的な小物です。
例えば、衿合わせを整えたり、帯を仮留めしたりするのに便利で、着崩れ防止にも一役買ってくれる実力派です。初心者にとっても心強い味方ではないでしょうか。
布に跡が残りにくい構造になっており、力を入れずに扱える点も嬉しい一面でしょう。
色やデザインもシンプルなものが多く、着物に馴染みやすいよう配慮されています。
それほど大きくないものが多くてバッグにも入れやすく、不意の着崩れに対応するために持ち歩くのもおすすめです。
羽織
羽織はいわばカーディガンのようなもので、着物の上に羽織るアウターとして使います。
体温調節や塵除けとして便利であるほか、伝統的な形をしているため、見た目にも格式を加える効果があります。
季節やシーンに応じて素材や丈の長さを選べるようになっており、春秋には軽やかな羽織、冬には裏地付きの防寒用が一般的です。
デザインも無地から柄入りまで幅広く、コーディネートのアクセントとしても楽しめるでしょう。
外出時の着姿をセンスアップさせるアイテムとして、ひとつは用意しておきたい小物です。
まとめ
着物を着る際には基本となる肌着や補正道具に加えて、帯まわりの装飾や外出用のアイテムなど、多くの和装小物が必要となります。
このような小物は着姿を整えるだけでなく、着物の印象や快適さにも関わるため、理想の着姿がある人はぜひこだわってみてはいかがでしょうか。
見えない部分への配慮が、全体の完成度を高め、品格のある装いを演出します。すべてを最初から完璧に揃えるのは難しいですが、自分のスタイルやTPOに合わせて、少しずつ取り入れていくのもよい方法です。
時間をかけて揃えていくうちに愛着がわき、用途への理解も深まり、和装により親しみを覚えるようになるかもしれません。
創業80年を超える株式会社辻和では、着物だけではなく、和装小物も数多く取り揃えております。
「どれがいいんだろう」「この着物にこれは合う?」など、着物に関するあらゆる疑問をコーディネーターにご相談いただけるため、初心者の方でも気軽にお楽しみいただけます。
お気に入りの着物によく似合う小物や、試してみたい小物などがあれば、一度試してみてはいかがでしょうか。ぜひご用命をお待ちしております。